2009年からEパートナーをご利用されているエーザイ株式会社様。
社員と家族のメンタルヘルスケアの取組みとその効果についてお伺いしました。
労務政策部 福利厚生センター長 今井英晶 様
労務政策部 担当部長 河口英夫 様
当社は厚生労働省の指針に沿って三段階のメンタルヘルス予防策の体制を整えています。一次予防については本人のセルフケアを中心に、研修等の実施を通じて社員自らが健康管理の意識を高めるようにしています。二次予防の早期発見・早期治療については組織長によるラインケアが中心です。三次予防の復職支援・再発防止については精神科産業医による復職審査を実施しています。以上のような三段階の予防策に加え、外部専門機関としてEパートナーが全国の社員と家族をカウンセリングでフォローできる体制を取っています。社員と家族が早めにEパートナーに相談することで、辛くなる状態を回避するセーフティーネットとして活用しています。当社の場合は全国に営業所・事業所がありますので、全国をカバーするEパートナーの出張面談サービスを組み込みながらメンタルヘルス体制を整備しています。
今でこそ家族を含めてのフォローは一般的になってきましたが、Eパートナーは最初から本人とその家族と標榜していました。エーザイも企業理念のhhc(ヒューマン・ヘルスケア)という中で「患者様とそのご家族」という言い方をしています。家族を含めてのフォローという部分に共感を持ちました。それから出張面談に力を入れていること。どうしてもメンタルヘルス不調の場合、遠くまで出てきての相談というのは大きい負担になります。カウンセラーが近くまで出張する所に魅力を感じていました。又、人によって色々なニーズがあるので、電話相談、メール相談もできるという幅広い選択肢が取れることもメリットでした。その他、研修サービスなど色々な観点から精査した上で、最終的にはカウンセラーの質の高さという部分を評価して選びました。
全社員向けにはEパートナーから送られる「こころものがたり」と「ホッとタイムス」という二つの情報レターをメール配信しています。又、特に力を入れているのが新入社員のMR職へのサポートです。MRは、医療機関を訪問し、自社の医薬品を中心とする医療情報を提供しています。正確かつ迅速な情報伝達が求められ、資格認定試験もあります。配属前にEパートナーのカウンセラーに研修を実施して頂き、配属後は一年間、毎月一回、その時期につまずきやすいテーマに関するサポートメールをEパートナーから一人一人に配信して頂いています。例えば配属後のちょうど悩む時期であったり、MR認定試験の直前で焦っていたりとか、そういうMRの動きを踏まえながらメールを出して頂いているので、「自分のためにメールを出してくれている」という印象があると思います。研修でカウンセラーが顔を見せることで、顔の見える相談しやすい外部相談窓口という位置付けになっていると思います。
又、東日本大震災後の社員と家族の心のケアという点では、人事だけではとてもカバーできるような状況ではなかったので、一緒に岩手、宮城、福島と同行し、沢山の社員と面談をして頂きました。専門的な知識でしっかりサポートして頂けるサービスは、とても重要で有難いと思っています。最近では社員にかぎらず、組織のマネージャーが「ちょっと元気がないな」という社員を見た時にどう対応したらいいとか、復職した後の周囲との人間関係とか、そういうところもアドバイスを頂いています。
当社はメンタルヘルスの社外窓口とは別にコンプライアンスを含め、仕事や職場の悩みを広く受付ける社外窓口を持っています。ただ微妙な相談というのはありますので、本来なら悩みの相談窓口に相談すべき事項がEパートナーに相談されたり、逆にEパートナーに相談すべきものが悩みの相談窓口に行ってしまったりすることがあるようです。そういった時に、相互に連携できる関係になっていますので、もし違っていれば、そちらを紹介するという機能がしっかり活きていると思っています。これまでに何か混乱がおきたり、こちらに「ちょっと違うんじゃないの」みたいな声が入って来たことはまだ一度もありません。会社としては、複数の相談窓口があり、そこからスムーズに問題解決できるように連携が取れていることから、上手く役割分担ができているのではないかと思っています。
メンタルヘルス不調というのは、放っておけば年々増えて行く傾向にあると思っています。それは若い人たちがシニア世代とは違う感覚を持っていて、仕事自体も高度化・効率化されてきている環境も背景にあります。このような環境の中で、不調者の発生を少しでも減らしたいと考えています。新入社員のMR職に対して、サポートメールを配信してから、明らかに不調者の数が、下がってきたという数値的成果が出てきています。
又、契約して9年目に入りますので、研修をお願いする場合も、当社の状況に即して、例えば生産部門の組織の責任者研修や研究所の全社員を対象とした研修など現場のニーズをしっかりと汲み取って研修の中身を作り上げて頂いていることも有効かと思います。
そして、統計的な利用状況についても定期的にご報告を頂きますが、面談後の満足度評価がとても高いことから、社員の満足につながっているのではないかと思います。
このような効果の土台には、社員が安心して相談できるという社員からの信用の蓄積があると思います。メンタルヘルスの問題はあまり会社に知られたくないという前提で相談にいくわけですが、守秘義務がしっかり保たれていないと社員の信用は築けません。Eパートナーとの契約でも個別の話には言及しないということで、ずっとそれを保ってきていますので、社員はそういうのをしっかり見ているのかな、という気がしています。
今、IT化がどんどん進展してきているので、我々の普段やっている会議もパソコンの画面を通じてのやりとりが一般的になるかもしれません。しかし、Eパートナーのフェイス トゥ フェイスの面談を重視する姿勢はこれからも貫き通していただきたいと思います。又、メンタルヘルスを取り巻く状況として、会社に対しての責任の度合いが増してきています。ストレスチェック、長時間労働の是正、働き方改革、仕事と疾病や介護との両立など色々なものが出てくる中で、メンタルヘルスとの関わりは非常に深いものがあります。これまでになかったような事象に直面した時には、ぜひ色々な企業様の事例を知っているEパートナーにアドバイスをいただければと思っています。
又、休職者の中には、早く復帰できる方もいるのですが、長期化するケースもあります。休職中は主治医の治療を主体として、会社はあまり関わってはいないのですが、やはり長期化する社員に対してはEパートナーを紹介して、認知療法や復職に向けた準備を支援して頂けるように導いていきたいと思います。私たちも社内研修する時には、Eパートナーのサービスを紹介していますが、もっともっと社員とご家族に利用して頂きたいと思っています。
会社名 | エーザイ株式会社 |
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本社 | 東京都文京区小石川4-6-10 |
設立 | 1941年12月6日 |
従業員数 | 連結 10,452人(2017年3月末現在) |
企業概要 | 患者様とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)」を企業理念としている。グローバルな研究開発・生産・販売拠点ネットワークを有し、「がん」「神経領域」を中心とするアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患領域において、世界で約1万人の社員が革新的な新薬の創出と提供に取り組んでいる。 |
URL | http://www.eisai.co.jp/ |
※ 記載内容は2017年3月現在のものです。