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EAP(従業員支援プログラム)とは?導入実績700社以上のプロが分かりやすく解説

今や企業にとってはハラスメントの防止や労働環境の整備に加えて従業員のメンタルヘルス対策も必須といえます。従業員のメンタルが安定すれば、離職率の低下や生産性の向上、企業の利益向上にも繋がることでしょう。
昨今、従業員のメンタルケアの一つとしてEAP(従業員支援プログラム)が注目されています。

この記事では700社以上の企業にEAPを導入した実績があるプロが、EAPの意味や具体的な対策の内容をわかりやすく解説します。

EAP(従業員支援プログラム)とは?

EAPとは?EAPとは従業員のメンタル不調対策を目的とした支援プログラムです。専門の相談窓口を設け、従業員のメンタルに不調をきたさないように、あるいはメンタル不調に陥ってしまった従業員に対して精神的・身体的ケアを行っていきます。

 EAPはEmployee Assistance Program」の略で、国際EAP協会では一般的に以下の2点が専門家によって提供されるサービスであると定義しています。

  • 職場の生産性、健全な運営の維持及び向上、またその組織ニーズの提言をする
  • 人間の行動とメンタル上の健康に関する専門家のノウハウを通じてサービス行う

 2つ目について補足すると、従業員の個人的な問題(健康、メンタル、家族、借金などの経済的問題、アルコール、薬物、法律、感情、ストレス)の整理や解決を援助することを指します。(出典:国際EAP協会 『EAPの定義』より引用

続いてEAPの具体的なプログラムの内容や種類をご紹介する前に、EAPの歴史や意義について見ていきましょう。

EAPが生まれた歴史的背景

EAPの起源は1960年代にまで遡ります。アメリカでは当時、第二次世界大戦でメンタル不調に陥った兵士がうつ病やアルコール、薬物依存に陥ってしまうケースが頻発し、社会問題となりました。心に傷を負った兵士たちを救うべく、EAPが形作られ普及してきたのです。

 日本でも1980年代頃からEAPが注目されはじめ、導入する企業が出てきました。2000年以降、過重労働やハラスメント、それらによるメンタルの不調などが深刻な社会問題化したことによって企業においても職場環境の改善に本腰を入れはじめるようになりました。さらに近年では働き方改革やコンプライアンス意識の高まりによって、従業員のメンタル対策も企業の重要な責務となってきています。その一環として多くの企業がEAPを導入しているのです。

EAPを導入する目的・意義

EAPの目的や意義としては「従業員のストレスを把握する」「メンタルケアを行って不調を予防する」「職場の生産性を向上させる」などが挙げられます。

定期的にストレスチェックやカウンセリングを行うことで、あるいは管理職が日常的に目を配ることで、従業員が抱えているストレスの度合いや内容を把握することができます。
そのうえで、強いストレスを感じている従業員、メンタルに不調をきたすおそれが高い従業員に対しては、早期にケアを実施して、場合によっては医療機関の受診を勧めることで、不調の予防が可能です。こうしてストレスなく従業員が働けるような環境を構築することで、職場全体の生産性の向上にもつながります。

 また、従業員にとっても以下のような悩みを相談窓口に相談することでストレスの軽減や解決の糸口を模索することができるようになります。

  • 仕事の悩み
  • 人間関係の悩み
  • 家庭の悩み
  • 身体の不調や健康上の不安
  • 将来に対する不安

 EAPは企業にとっても、従業員にとっても、非常に大きなメリットをもたらす可能性を秘めています。さらに、後述する厚生労働省が推進する従業員のためのメンタルヘルス対策とも関連している点もポイントです。

【令和4年】ストレスを抱えながら働く日本人の割合は8割超え!?

現代はストレス社会だと言われていますが、その裏付けとなるデータも出ています。厚生労働省の『令和4年労働安全衛生調査(実態調査)』によると、「仕事に強い不安や悩み、ストレスとなっている事柄がある」と回答した労働者は82.2という結果が発表されています。
「仕事の失敗や責任の発生等(35.9%)」「会社の将来性(23.1%)」「顧客、取引先等からのクレーム(21.9%)」などの悩みを抱えている方が多く、大多数の人が仕事や職場に対して何らかのストレスを抱えているということになります。

 「仕事や職業生活に関するストレスを相談できる人がいる」と回答した人は91.4%でしたが、逆に言えば1割近くの人が誰にも相談できず、一人で抱え込んでしまうリスクがあるということになります。また、「相談できる人がいる」と回答した人は9割を超えたものの「実際に相談したことがある」と回答した人は69.4%に留まりました。

 多くの人がストレスを抱えながら働き、その中には誰にも悩みを相談できていない人もかなりいることがうかがえる調査結果となりました。

 (出典:令和4年労働安全衛生調査(実態調査)、調査者:厚生労働省、調査期間:令和3111日~令和41031日、調査対象:全国18,000人の常勤労働者や派遣社員)

2種類のEAPと4つのメンタルヘルス対策

職場で行うメンタルヘルス対策にはさまざまなものがあります。EAPはその一つの手段です。相談窓口を設けることで、従業員のストレスの把握や早期のケアという点に関して大きな期待ができます。

 ここではEAPの具体的な取り組み内容を種類毎にご紹介します。またEAPと密接に関連する厚生労働省が定める4つのメンタルヘルス対策についてもご紹介します。

2種類のEAPとその違い

EAPには大きく分けて「内部EAP」と「外部EAP」の2種類があり、違いを理解したうえで自社に合ったものを導入することが大切です。ここからはそれぞれの特徴について見ていきましょう。

(1)内部EAPとそのメリット

内部EAPとはその名のとおり社内で完結するEAP活動のことを指します。社内に相談窓口を設けて産業医やカウンセラー、相談員を常駐させ、従業員からの相談に乗る、ストレス状況を把握する、ケアを実施するといったメンタルケア対策を推進します。
常に専門家が社内にいるので対応が早い社内の事情を踏まえた上でのケアがしやすいといった利点があります。

(2)外部EAPとそのメリット

外部EAPとは社外に相談窓口を設ける方法です。EAPサービスを提供している法人などと契約を結び、委託先の産業医やカウンセラー、相談員などが従業員の相談に乗ったりメンタルケアを実施したりします。
第三者が相談に乗るので従業員にとっては悩みを打ち明けやすいというメリットがあります。また、企業にとってもカウンセラーや相談員を雇用しなくても良いためコストを抑えられることが可能です。

Eパートナーでは全国出張型のカウンセリング体制を整えておりますので、全国に支店や事務所がある企業様の場合でも柔軟に対応することが可能となっております。お気軽にご相談ください。

厚生労働省が推進するメンタルヘルス対策『4つのケア』

厚生労働省が2006年に定めたガイドライン『労働者の心の健康の保持増進のための指針』では、メンタルヘルス対策のために特に重要な『4つのケア』について挙げており、3つ目と4つ目のケアは上述の内部・外部EAPとも密接に関連しています。こういった点もEAPを導入する企業の増加に繋がっているのかもしれません。

ここでは4つの重要なメンタルヘルスケアについて、それぞれどういった内容か順番に見ていきましょう。

(1)働く人全員が取り組む「セルフケア」

セルフケアはそれぞれの従業員が自分自身で行うメンタルケアのことを指します。特に重要なのは自分でストレスを抱えているかどうか、不調は出ていないかどうかを把握することです。
たとえば「気分が重い」「不安を感じる」「なかなか眠れない」などの心身の変化に気づいて早めに対応することで、深刻な事態を防ぐことができます。

(2)監督者から従業員に対して行う「ラインによるケア」

ラインケアとは部門単位で管理職が行うケアのことです。部下の様子を注視したり対話をしたりすることで状態を把握し、それに合わせた対策をとります。
「顔色が悪い」「表情が暗い」「遅刻が多くなった」など部下の様子に変化が見られたら相談に乗り、本人に対するケアや職場環境の改善を行います。また、ストレスチェックなどの取り組みも実施します。

(3)産業医や保健師からの支援「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」

事業場(同じ建物または同じ敷地内の建物群)内に産業医やカウンセラーなどが常駐して行うメンタルヘルスケアを指します。事業場内産業保健スタッフが職場巡視を行って各従業員の様子を見たり話を聞いたりする、窓口として相談に乗る、セルフケアやラインケアなどに関する研修を行うなどの方法でメンタルヘルス対策を行います。先ほどご紹介した内部EAPはこれにあたります。

 ただし、従業員の不調の早期対応や職場環境の改善につなげるためには、企業と産業医・カウンセラーなどとの連携が欠かせません。

(4)社外の専門家からの支援「事業場外資源によるケア」

社外の専門家によるメンタルヘルスケアのことを指します。外部の機関や企業、あるいは専門家と契約を締結し、産業医やカウンセラーなどが相談窓口としての役割を果たし、各従業員のストレス状況の把握、ケアなどを委託します。外部EAPがこれにあたります。

上記の3つのケアと異なるのは第三者が実施するという点です。特に職場の人間関係の悩みやハラスメントの悩み、家族の悩みなどは、上司や管理職、あるいは会社側とつながりがある事業場内産業保健スタッフには相談しにくいものです。第三者の立場だからこそ相談できる悩みやケアがしやすくなるという側面もあります。

【まとめ】拡大するメンタルヘルス対策と外部EAPサービス

現代社会では大多数の方が大なり小なりストレスを抱えながら働いています。中には疾患を患って働けなくなってしまった方、自ら命を落とされてしまわれた方もいらっしゃいます。

 今や企業にとっては従業員のメンタルヘルス対策も必須事項です。一方で、社内ではケアに割けるリソースも限られています。また、第三者だからこそできる対策もさまざまあります。今後、ますます外部EAPの普及も進んでいくでしょう。

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